これは、わたしが毎日のように生徒に説明していることです。わたしは7年以上にわたって生徒のIELTS対策を手伝ってきましたが、わたしたちがSI-UKで使用するすべてのテキストのなかでこの点を明記しているものはたった一つ、Cambridge Objective Intermediateのみです。そしてこのテキストは、実際にIELTSの試験そのものを作成している会社から出版されています。どうして他のテキストがこの点をもっと明らかにしないのかは疑問ですが、この点を理解していれば、IELTSの受験はよりストレスの少ないものになります。どういうことか、詳しくみていきましょう。
ほとんどの一般的な試験では、回答内容が最も重視されます。あなたの回答内容が、あなたがどんな風に回答するかよりも、はるかに重要ということです。たとえば、もし誰かが科学の授業で水の沸点を尋ねられたときに、
“Water boils at one hundred degrees Celsius”(「水は100℃で沸騰します」)
と言っても、
“Water boiling at one hundred degrees Celsius”(「水 沸騰 100℃で」)
と言っても、
“Water. She boil at one hundred degrees Celsius”(「水。それは100℃で沸騰します」)
と言っても点がもらえるでしょう。2つ目と3つ目の解答には文法的な間違いがありますが、それでも理解はできますし、重要なのはその内容、この場合”one hundred degrees Celsius”(「100℃」)が当たっていることが重要視されます。
もし“Water boils at ninety degrees Celsius”(「水は90℃で沸騰します」)と答えれば、文法的に正しいですが、内容的には間違っています。科学の授業では、これはおそらく最も重要なことです。しかし、IELTS試験はこれと正反対なのです。
IELTSを受験された方がわたしに、「試験官がこんな質問をしてきたけれども、自分はその答えを知らなかった」と言ってくると、少し悔しく思います。IELTSのスピーキングテストで尋ねられる多くの質問には、「正しい」答えは存在しません。たとえば、「1919年、ヴェルサイユ条約に調印した国はどこか。」といったような、事実に基づく正確な答えを求められる質問をされることはありません。IELTS試験では、あなたに意見を求めたり、何かを比較させたり、何かの予想をさせたりするような質問が尋ねられます。これらの質問に、「正しい」答えや「間違った」答えはありません。
たとえば、試験官が「今後30年間でモバイル通信端末がどのように発達すると思いますか。」と尋ねたとします。このとき、試験官は、回答者がどのくらいうまく未来について推測し、それを言葉にして伝達できるかをみているのです。試験官は、回答者のモバイル通信の分野における現在の発達度やその産業に対する知識をテストしているわけではありません。
この例題に対する2つの回答例を見てみましょう。
“I believe that within the next 30 years we will see more devices that are recyclable. We will be able to use them for as long as we need to, and if we want to get a new one, we will be able to recycle our old phones. It’s going to be very good for the environment.”
(「今後30年で、より多くの端末がリサイクル可能になると思います。必要な分だけその端末を使用し、新しいものが欲しくなったときには、古い端末をリサイクルできるようになるでしょう。これは環境にとてもいいでしょう。」)
または、
“I believe that within the next 30 years we will see more devices that are edible. We will be able to use them for as long as we need to, and if we want to get a new one, we will be able to eat our old phones. It’s going to be very good for people that like tasty snacks.”
(「今後30年で、より多くの端末が食べられるようになると思います。必要な分だけその端末を使用し、新しいものが欲しくなったときには、古い端末を食べられるようになるでしょう。これはおいしいおやつが好きな人にはとてもいいでしょう。」)
最初の回答のほうが優れていると思う人がほとんどでしょうし、回答内容まですべて吟味されるならば、それは正しいでしょう。もしこの質問がデザインのコースの中で尋ねられたなら、最初の回答がベストで、2つ目の回答ではクラスメイトや先生に少し変わった人だと思われてしまうかもしれません。
しかし、IELTSは内容を重視したテストではありません。ということは、上の2つの回答はどちらも同じ点数を与えられます。受験者は “will” と “going to” を効果的に使っていますし、両方の回答で recyclable-recycleや edible-eatというふうに、動詞と形容詞を正しく組み合わせています。
したがって、IELTSを受験される方には以下のことを覚えておいてほしいと思います。
1. IELTSは知性を問うテストでも、一般的な知識を問うテストでもありません。英語のテストです。
2. 良い回答が思いつかなかったら、どうして思いつかないのかを言いましょう。
3. 必要であれば、嘘でも構いません。賢いことでなくても、間違っていても何か言いましょう。点数には影響がありません。
それでは、健闘を祈ります!
By SI-UK語学センター講師